1999年12月号  目 次:1999年1月〜12月)
定例研究会報告

80回定例研究会は以下の通りでした。

報告テーマ:「中国社会主義経済の現状について」

報 告 者:中村健一 (住友商事株式会社)

日   時:19991120() 13301700

出席者数: 12

1.中国とのビジネスの係わり合い

 中国でのビジネスの経験は、1982年の上海事務所への出張で手がけた仕事から、河西省、貴渓県にある住友東与式銅精錬一貫プラントの担当になったことから始まった。この事業は、住友金属株式会社との共同で行った。ここで、住友現場事務所の総代表付きの仕事に19826月から19866月までの足掛け4年間従事した。このプラントの立ち上げが成功した後に、次いで、19874月から19916月まで、北京事務所、副長に転勤になり、ここでプラント関係の窓口担当を行った。しかし、天安門事件で仕事がストップしてしまい、プラント関係の仕事が無くなったため、人事、通信、財務関係の担当に代わった。

 その後も、1995年からの天津にある天津住重減速機有限公司を副総経理兼総務部長として会社立ち上げや、1996年からの中山福朗声紙盆有限公司の副総経理兼総務部長としての会社立ち上げ等、長年に渡って中国ビジネスに従事してきた。この長い中国とのビジネスの体験を通じて得た経験を今回はお話したい。

 中国との付き合いが長く、中国には非常に愛着を持っている。いろいろ中国のことをきちんと理解し、両国の発展のために貢献したいと考え、小島麗逸経済研究会に入ったり、アジア政経学会会員として、いろいろ研究活動を行っている。

2.中国の最近の歩み

 1911年は、辛亥革命の年で、中国が3800年続いた皇帝制に代表される古代から現代に抜け出た節目に当たる年と言えるのではないだろうか。その後曲折を経て中華人民共和国が誕生し、1979年には劉小平の対外開放政策が打ち出された。1982年から1986年まで、銅精錬一貫プラントのために貴渓省で働いていて、プラント内にあるゲストルームのような寄宿舎に住んでいた。当時、周恩来が4つの近代化を提唱し、そのうちの1つがこの貴渓省の銅鉱山で、工業化の3つの柱となるその1つとして重要視されていた。そのため、2005年までの長期計画が策定されていて、その計画を示す赤いグラフがあるのを、プラントの事務所の一室で見たことがあり、非常に長期的に考える国なのだと関心した。

 中国はアジア危機でペースが落ちたアジアの他の国を尻目に、平均7%の年成長率を遂げていて、この成長率はあと10年は継続すると広言している。確かにこの成長率を維持していく可能性が高く、このままの成長を遂げれば、2010年には2000年のGDP2倍になる。2050年に近代国家として民主化を確立するということだが、こういった中国のやり方を見ていると、長い目で考えている国なので、われわれも長い目でみる必要があるということと、計画したことは一歩一歩きちんとやるという姿勢に貫かれていることに感銘させられる。

 中国の1人当たりの穀物消費量が現在は300310kgになっている。かっての飢餓状態の時期が220kgで、250kgになると満足できる状態であり、300kgを超えると満腹状態で、人々はより美味しいものを求めるようになるという。まさに中国はそういう状態に達したことになる。

3.今後50年の展望と社会主義市場経済の現状

 中国の今後の50年の展望ということに関し、友人でもある、中国大使館経済商務処の公使参事官である呂克倹氏の講演に感銘を受けたので、その講演を元に説明したい。

(配布の「中国の対外開放と中日経済貿易協力について」と題する中国大使館経済商務処公使参事官名克倹氏の講演のメモを転載)

3-1)中国対外開放と経済の状況

1979年〜1997年にGDPは、3,624億元から74,772億元に上昇。年平均伸ぴ率は、9,8%

一人当たりGDPは、379元から6,079元に増加。世界第7位。

1997年の業出入総額は、3,240億ドル。世界第11位。

農業総生産は、昨年の深刻な洪水にも拘わらず、1997年並みの49千万トン。4年連続豊作。

工業は、安定継承し、内需拡大政策の実施に合わせて経済の発展に寄与。

中国の改革は、順調に進み、社会が安定し、都市と農村の人民の生活水準は向上。

中国は、220の国と地域と交渉。1998年輸出入総額広3,240億ドル。世界第11位。

中国国内の総生産に占める貿易のシェアーは、33.8%GDP1/3が、対外貿易による。

本年の中国経済状況は良好。引き縁き安定して発展。上半期の国内雀生産の成長率は、前年同期比7-6%増。経済成長は、第1〜第3四半期まで、平均74%を記録。

・人民元の対米ドル為替レートは、引き続き安定。

外貨準備高は、9月末迄に、1515億ドル。(去年の年末より66億ドル増加)

19月迄の中国輸出入貿易総額は、2,546億ドル(前年同期比9.4%)この内輸入は、19.3%増。輸出は、2.1%増。9月は、それぞれ7.8%202%増。

4半期の経済は、一層の改善が期待。このまま行けば、年初の7.6%の経済成長率は、達成可能で若干上回る。

残る色々な難しい問題;有効需要不足との矛盾の残存するが、対処策として、政府は投資拡大、商材の活性化、輸出拡大などの一段と強力な措置をとる。

・改革問題の実態と課題;

@改革発展を正確に捉え、改革を原動力に発展を促進する。20年にわたる改革開放は、基本的な経験の一つとなっている。

A中国は、金融体制政草、財政経済体制政草、政府機構改革、国有企業改革、食糧流通体制改革という各種の改革を通じインフラ投資を増加し、農村市場の開発を増加し、対外貿易の発展に力を入れている。

B外資の利用拡大して、海外経済技術協力を一層進め、国民経済の発展を促す。外資利用は、基本的な国策の重要内容。改革開放後の20年間に中国に進出した外資企業は、今年の9月末迄に、337,471社。外資利用は、契約ぺ一スで、6,021億ドル。実行べ一スで、2,967億ドル超。1993年から6年程続して発展途上国で最大の外資利用国。今後、知的所有権等外資系企業のあらゆる権益を保護して行く。

・国内外の新しい環境の変化に対応し、対外開放分野を広げ経済成長を目指す具体的対策

@更に積極的な財政金融政策を実施。国民経済及ぴ社会発展に差し迫って必要なインフラに投入。科学技術投入を増やし、科学教育により国家振興という戦略方針を更に固める。

Aインフラ建設強化。農業、水利建設、生態環境の建設投資を重点的に増加。引き続き、鉄道、道路、電気、通信及び一部の重点空港建設を急ぐ。投資環境保全、投資のインフラ建設規模拡大、国家所属の食料備蓄倉庫の建設、農村部の電力網の改造や建設工事に力を。経済的で実用的な住宅建築の規模拡大。

B消費分野改革強化。内需を拡大。自動車、住宅2つの分野が今後急成長の見込み。新しい消費分野に仲間入り。金融機関として商工ローン、クレジット消費規模の拡大。農村の消費環境改善、需要に見合う製品の打ち出し。都市部と農村部の流通を活性化。

C輸出商品構造の優良化の加速。輸出商品の品質レベル、付加価値の更なる向上。ここ数年、ハイテク製品の輸出増加。1998年輪出額中、最終製品、機電製品が18%増の1128千万ドル。

1110日の深せんでの第1回中国ハイテクフエアーの6日間で64億ドル成約、外国との成約10億ドル。この2年間、ハイテク製品関連は、二桁の伸び率。産業化、商品化、企業化の進行。ハイテク製品輸出プロモートの奨励策を出す。

経済のグローバ化、地域経済の集団化の進展が加速化。特に交通、電気、通信、エレクトロニクス、情報技術の発展により国際間の経済、科学技術交流関係の密接化。APEC参加、220力国以上の国、地域との経済貿易交流で自分の義務と国際的な義務を負うと同時にそれにふさわしい権益を獲得。ひいては、経済の発展、国民生活レベルの向上。

3-2)中日経済技術協力

江沢民主席の昨年末日本訪問は、21世紀の両国を展望し未来を志向する共同宣言発表。平和と友好協力バートナーシップの確立を宣言。

小渕総理の78日の中国政府招ぎの訪中は、円満な成功。両国間にて中国のWT0加盟の最終合意。

江沢民、小渕の訪日訪中の成功を具体化する面は、日本経済界は、多いに活躍出来る。経済界の民をもって官を動かす良好な伝統。国交回復27年間以来、官民あげて中日経済関係の急速な発展。

江沢民主席訪日時、中日交流の重点として、ハイテク及び産業技術、環境保護、中西部開発の3つの分野の協力を提案。日本各界の反応あり、3つの分野とも確奏に進展中。

1993年から6年間、日本は中国にとり一番大きな貿易額。中国も日本にとり米国に次ぐ2番目の貿易相手国。1997年の中日間貿易額は、608億ドル。(過去最高)両国間の貿易額は、中国全体の対外貿易額の5分の1

対中直接投資は、19999月までに日本の対中投資は、18,469件。契約べ一スで、343億ドル、実行べ一スで、2443千万ドル。1万社以上の日本の私設企業が中国各地で生産販売など展開中。

上海浦東では、700社が日本から来ている。今後、資金技術密集分野、中西部地域の資金協力により更に大きな発展が見込まれる。日本政府借款や日中資金協力は、中国国民経済建設の加速に積極的な役割。

98年と99年の中日貿易の状況;両国は、アジア金融危機、日本経済の低迷、中国の未曾有の洪水災害にも関わらず、マイナス面を量小限に努力した。

 @1997年両国間貿易額、608億ドル(史上最高)

 A1998年同上額、579億ドル。48%減。日本の対中投資建設も契約べ一ス、実行べ一スでも縮小。双方にとって望ましくない。既に両国政府、各界の注意を喚起。遺切、有効な措置やあらゆる手段を通して、改善を確認した。日本経済の方も底を脱し、景気回復方向に向っており非常に嬉しい。

B1月〜9月までの中日貿易額は、460億ドル。昨年同期比12.8%増。うち、中国の対日輪出は、2246千万ドル。輸入は、2354千万ドル。各、6.6%19.2%増。

C1月〜9月までの日本企業の対中直接投資広867件。契約べ一ス1754百万ドル。

 実行べ一スで2519百万ドル。前年同期比、それぞれ0.5%12.1%減。実行べースは、25%増。貿易、投資の伸び悩みは、両国経済のアジア経済危機の衝撃からであるが、過去の成果を踏まえ、新たな段階にする今まで以上の努力が不可欠。より高い水準の発展が見込まれる。

D日中貿易の潜在力発展のために、中日貿易は新たなチャレンジを。

2010年までに長期目標で中国は、今後10数年年平均7%以上の高い成長速度を維持。

1998年〜2000年にかけて、中国の投資規模は、12千億ドル。今年から2005年までの7年間に、中国は、海外から15千万ドルの設備、技術、製品を輸入。

貿易促進のために、平均関税率を、現在の17%から15%に下げ、2005年までに工業製品の関税率を1O%まで下げる。

商業、貿易、観光、航空、輸送、工事請け負い、仲介サービスの貿易分長の開放を重点的に推進。銀行、保険、通信分野も徐々に進める。

ハイテク産業、基幹産業、インフラ、環境保護産業、輸出型産業、中西部地区投資の奨励。そのため、一部の商品輸出の遺付率を71日より2.9ポイント引き下げた。

中国国家発展計画委員会は、714に公表した優先的に発展させるハイテク産業の重点分野のガイドラインの中には、138のハイテク分野が入る。その公布に合致する案件は、設備の輸入関税の減税と免税が申請可。中日両国の関係部門で去年科学技術合作協定も結ばれている。農業、エネルギー、情報通信、医療、都市建設、環境、素材の8つの分野において強力することを確認。

98日対外貿易餐済合作部は、外資企業への金融支援、科学技術開発革新奨励、中西部への外資投資促進の3つの分野で、今後実施する大幅な優遇奨励政策を発表した。

世界第二の経済大国である日本に対し、中国は大きな期待を寄せている。その資金と技術の優位性、豊富な経験、国際競争力を生かして中国市場で引き続き大活躍できる。両国は、経済協力面において、大きな相互互換性があり、経済協力を発展させる巨大な潜在力があるがまだ十分に完握されていない。両国政府の措置に対して、両国経済貿易関係を21世記に繋げることは、中日両国、アジア、世界の繁栄と発展にかかわってくる。

中日両国が、アジアそして世界に貢献するには、次のことが必要。

@世界経済が一体化に向い、世界経済の新秩序が尚も形成段階の中に両国は戦略的な視点で、眼下の困難を克服し、チャンスを掴んで、両国の多分野、広範囲における協力のしくみを作りあげなければならない、経済協力は、両国関係発展の重要な原動力であると常に考える事。

A中日経済貿易関係の課調な発展を確保するには、両国は常に共通の利益を考慮し、経済貿易の摩擦や矛盾等を対等な協議によって正しく処理しなければならない。なぜならば、発展と協力は、我々両国の目的だから。

B両国の経済協力関係において新しい成長点を見出すこと。21世紀に向い、中日両国がどういう分野で経済協力関係の成長点を見出し養成することが両国の重要な課題。

・次の5つの面から更に経済協力が発展できるのではないかと思う。

@ハイテクヘの投資、技術移転や経済交流などで相互互換性を強化させる。両国の伝統的な輸出入商品を安定して発展させると共に新商品の開発、新たな協力関係の構築、機電製品、ハイテク製品の貿易拡大に力をいれる。商品の輸出入を技術やサービス貿易と結びつけ、又、技術集約型製品と労働集約型製品をうまく結び付けなければならない。特に訴えたいのは、両国経済協力の核心は、知的投資や技術移転にある。中日両国の経済摩擦を減らして、経済協力のレベルを向上させる効果的な挑戦法で又、経済協力の必然的な帰着点である。人材育成、人材交流、研修交流の拡大することも有益。

A中西部地域での市場競争に積極的に参加すること。中西部は広く、資源や労働力が豊富で農業と工業開発の潜在力が大。一部の都市は、かなり整備されたインフラと工業施設を持っている。開発の前進は、明るいといえる。中西部投資の発展に対して政府のインフラ投資を50%以上を傾斜配分している。日本の企業は、技術の優位性を生かして積極的に中西部の共同開発をしていただきたい。

B国有企業の改革は、新しいチャンスをもたらしている。国有企業の技術改造は、海外の技術と資金の大きな市場で、日本の企業は多いに活躍できる。もし日本が対外投資をもっとやり、技術移転を積極的にやり、設備更新と技術革新を積極的にやれば日本の中国における技術の優位性が一層明らかになり、収益も更に大きくなる。日本のハイテク設備やすぐれた部品などに対する中国の需要も増える。

C農業分野での協力と農村市場の開拓。食料は社会発展と安定にとって、非常に重要な要件。農業分野の科学技術協力の内容は、多岐にわたる。中国農村の巨大な商品市場が形成されつつある今日、更なる開発が期待でき前途は明るい。中国の穀物、新鮮な肉類、果物、野菜といった農産物の産地輪出のびる。中日両国が、農業分野で伸びることは、生態系環境の保護や汚水処理など巨大な潜在力と商機に満ちている。両国間で動植物の検疫を交渉している。市場を開放すればもっと農業面での両国の協力関係が拡大する。農業分野の振興にも棄がる。

D二国間、多国関係の総合的な経済貿易関係を構築すること。中日両国は、アジアの経済回復と振興のため、しかるべき役割を果たすだけでなく、APECにおける経済技術協力を展開し、政府間協議を強化する上でも強力しあう。又、国際市場で中継貿易や工事の共同請け負いなどを行うことによって、共に利益を確保することができる。人類社会は、21世紀の発展に際して、人口と環境保護、農業、エネルギー問題に直面している。中日両国は、これらの分野の基礎研究から企業生産までの多国間、二国間協力を積極的にくりひろげ、お互いに長所をとり、欠点を補うことによって共に成果を得ることが出来る機会。

4.WTO加盟

 中国もWTOに加盟することになったが、それを、JETRO「中国セミナー」資料から紹介したい。(配布のJETRO「中国セミナー」資料、「中国WTO加盟:99/4米中協議g中国側提案内容」から転載)(米国・ホワイトハウスの情報から、但し以下は協議中・未解決)

I.「農産物の市場開放」()

輸出入貿易権、流通、高関税の是正、輸入割当制度問題、SPS協定適用に関する非科学的問題、国家貿易企業による農産品貿易の独占、輸出補助金問題。

協議の結果:全体的に「関税化する」という方向。(多くの貿易相手国よりも低いレベルに)

A.「関税率引き下げ」

平均関税率:農産物の全体的な平均関税率を引き下げる。17%

期   間:全項目の関税率引き下げは、2004年までに行う。

B.「バルク商品に対する関税率・輸入割当制度」

中国は全ての割当制限措置を撤廃するというWTOの基準を遵守。重要品目は、関税割当制度(割当量までは最低関税率を適用=通常1-3%、割当量以上は高関税率を適用)を適用。

「ポイント」:(1)関税割当制度(最低関税率適用)は、現行の輸入量以上とし将来拡大。

      (2)米国は、民間貿易企業がこのトレードに参入するよう求める。

「米国のプライオリティ」:「大豆油」「小麦」「コーン」「米」「綿花」「大麦」

C.「衛生、及び植物検疫」規制間題

中国は、衛生、及び植物検疫規制問題について科学的に解決を図ることに同意。

「小麦・一柑橘類・肉類に関する二国問協定」:

中国は、肉類・柑橘類・小麦に対する「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)の適用禁止を撤回。

D.「輸出補助金」

中国は、(将来)農産物に対して如何なる輸出補助金も付与しないことに同意。

特にコーン、綿花、米に関し重要な措置。

U.「工業製品に対する市場アクセス」()

*「中国市場における当該企業製品の輸入、輸出、国内流通を認める」

*「関税率を米国主要貿易相手国、または主な発展途上国よりも低いレベルに大幅に引下げ」

*「関税譲許の義務化」

*「輸入割当制度による全ての輸入規制措置の段階的撤廃」

米国の関心:

「情報技術協定に代表される国際的なゼロ関税措置への中国の参加」

「自動車・木材・木材製品、化学品、水産物等の民間(貿易)部門」

A.「輸出入貿易権と流通」

米国は・貿易・流通の規制撤廃に関する合意を勝ち取り、米国企業に対する輸出入貿易権と流通権を得る。これらの権益は、(中国のWTO加盟後)3年間で実行される(:それま

では、外国製造業/外国貿易業による参入/設立条件の緩和は認められない、見込み)

B.「工業製品の関税率引き下げ」

「関税率」:中国は平均関税率を(大幅に)引き下げる。

「引下げ」:上記引き下げの3分の2は、一部の例外を除き、2003年までに実行する。

C.「米国が関心の高い商品の関税引き下げ」

「ハイテク」:中国は、情報技術協定を実行する。半導体・コンビュータ・通信設備・その他情報関連機器、2003年〜2005年までに実行。「自動車」についても2005年までに(大幅の)引き下げを行う。

APEC関連」:木材と紙、環境関連製品と(その)サービス、エネルギーとエネルギー機器、化学品、魚類、おもちや、宝石及び宝飾品、医療機器及び科学機器。

D.「輸入割当、及び非関税障壁問題」

中国は、米国が優先課題とする(輸入割当等)規制措置の撤廃に同意、5年間を目途に行う。

「輸入割当」:残存する輸入割当制度は、一般的に2002年までに、遅くとも2005年までに撤廃する。自動車の輸入割当は、2005年までに撤廃する。

V.「サービス」(未解決)

A.「援用規定(既得権益)

外資企業は、あらゆるサービス業種において、地方政府及び中央政府が当該外資企業に(既に)与えた(免許等の)権益を保護される。

B.「流通」(協議中)

中国の(サービスに関わる)市場開放措置は、卸業、ダイレクト・セール、小売、アフターサービス、輸送を含め、流通関係全般に亘っている。これによって、米国企業は、中国内で自社生産した製品に加え、輸入製品を販売(流通)することができるようになる。

「流通関連」:「急配サービス」「レンタルおよびリース」「エア・クーリエ」「貨物フォワーダー業」「倉庫・保管業」「広告業」「技術試験/分析サービス業」「包装業」についても開放措置を採る。

「開放時期」 (中国のWTO加盟後)3-4年間で撤廃。

C.「電気通信」(協議中)

「通信規定」:「基本電気通信協定」に基づき・競争原理導入の方向で協議中。

「サービス :次のサービスについて地域的規制を段階的に撤廃する方向で検討。

  の範囲」 「ぺ一ジング」「付加価値通信」「企業/グループ通信」「移動体通信」

       「国内有線サービス」

「投  資」:全通信業種において外国企業の持ち分を認める可能性につき協議

D.「保険」(協議中)

「認可基準」:中国は、需要見積もりの要求や営業許可の制限を行わないようにする。

「地域制限」:新規事業免許に対し、5年後までに地域的な規制を廃止する。

「営業範囲」:事業許可の霜囲を5年以内に、グループ保険・健康/養老保険にまで広げる。

「投  資」:外国企業の過半出資、国内支店開設規制の段階的撤廃・パートナー選択権等

      について検討。

E.「金融」

米国は、中国の金融部門において、外国銀行が人民元/外貨取引双方を営業する包括的な権利、及び外国顧客のみならず、中国の顧客にもサービス提供が可能となること、及び金融サービスヘの直接投資を自由化することを求めてる。金融サービスについては、交渉を続行中。

F.「証券」(協議中)

G.「自由職業サービス(知的職業等)

「法律」「会計」「税務」「マネジメント・コンサルタント」「建設」「エンジニアリング」

「都市計画」「医科・歯科」「コンピュータ・サービス」など広い分野で提案、協議。

H.「オーディオ・ビジュアル」

I.「旅行および観光」

5.中国人の心と日本人の心

 中国の銅精錬一貫プラントで働いていた当時、貴渓県まで列車で行く機会が多かった。寝台列車で行くのだが、ある時、中国人の政府幹部と一緒になる機会があり、彼から、第2次世界大戦についてどう思うか尋ねられた。ありのままに答えた所、それであれば大丈夫であろうということを言われた。戦争を憎むが日本人を憎まないということが非常にしっかりしていて、滞在中も戦争のことで不愉快な思いをあまりしなかった。しかし、中国北部へ仕事で出かけた際に、ある家族を訪問することになった。その際、その家族の1人は、戦争での体験が忘れられなく、日本人を見ること自体も生理的に受け付けないといった状態で、顔を見せなかった。まだそういった戦争の傷跡が残っていることも事実である。

 こういった、不幸な過去を持ちながらも、それを乗り越えて、長い付き合いを行っていく必要があると思うし、そのように努力していきたい。中国人は非常に長い目で付き合ってくれる人種であり、確実に1歩1歩物事を進めていく人種でもある。戦後豊かになった日本人として、両国の長い付き合いの歴史を担う者として、何か中国に役立てればと考えている。

編集後記

 連日30度を越すバングラデシュから帰ってきて、東京はやはりとても寒いということを実感しています。皆様も風邪などを引かないように、お体に気を付けて下さい。                                     (末武記)